学生時代、夏休みなどの長い休みには、ホンダの工場にもアルバイトで行った。コンベアに流れてくるスーパーカブのエンジンカバーを取り付ける仕事の印象が深い。7本のビスをエアドライバーで締め付ける。工員の技量と時間によってコンベアのスピードは変わる。最初は何台目というのを数えていられるが、時間が過ぎると数えることも儘なくなり、時刻と台数とは分からなくなる。流れ作業は力はいらないが、同じことを限りなく繰り返すという、ロボットみたいな行動を人間がやるため、厳しい仕事だと思った。

周りの工員さんたちの話を聞くと、ホンダの正規従業員と臨時社員とアルバイトが、混在して仕事をしているのだと聞かされた。私はアルバイトで短期なので、そのうちロボット状態から開放されることが分かっているので、何とか耐えられるが、正規の従業員は、昇進するか転勤させられるまでは、この仕事を毎日続けなければならないと思うと、ホンダという華やかなブランドの下でも、現場で働くということは、そう生易しいことではないなと思った。

そのコンベアの先には完成検査というグループがあり、出来上がったばかりのバイクを二輪用のシャシーダイナモに乗せて、設計どおりのパワーが出ているか、ブレーキは利くかなどの検査をする。何台かに一台は、工場の外のテストコースを走る。この完成検査の仕事にはあこがれた。